OHIO製とKY製

使用感に載せているカードの大半を占めるU.S.P.C社製トランプは、新しいタイプの質として「KY製」という分類分けをしています。
2010年前後にU.S.P.C社は本工場をそれまでのオハイオ州からケンタッキー州へ移しました。

KY製というのはケンタッキー州へ工場を移した後に生産されたデックを指しています。それ以前のモノについてはOHIO製と区別しています。

何故区別しているのかと言うと、実はKY製となってからのU.S.P.C社製は、マジシャン側からすると品質が著しく低下してしまったからなのです。
このページではKY製の品質について述べています。

大きく変わってしまったのは主に以下の2点です。

カードの硬さ(弾力の維持力)

滑りの維持力

 

カードの硬さ
新品を空けた直後はしっかりとした弾力が感じられるのですが、暫く使ううちにどんどん柔らかく、頼りない弾力になってしまいます。
OHIO製は一度弾力が弱くなってしまっても、ケースにしまって時間が経つと、ある程度は元に戻りますが(勿論使い込めば相応に柔らかくなります)、KY製は柔らかく弱々しい弾力に定着するまでの時間が非常に短く、そのためカード自体の耐久性がかなり落ちているのです。
カードの弾力はマジックやフラリッシュで非常に大切な要素ですので、これの「保ち」が短くなるとそれまでの感覚で行っていた技法や演出に違和感を感じるようになってしまいます。

滑りの維持力
カードマジックにおいてカードをテーブルに広げたり手でファン状にする事は多いので、使用するカードには滑りの良いモノが選ばれます。これは今までBICYCLEを筆頭にU.S.P.C社製が断トツで他のメーカーに勝っていたのですが、KY製となって以降、この滑りが鈍くなりやすいカードが目立ってきました。
カードは紙製ですから、汚れや手の汗などで表面の滑り具合は落ちていきます。これは仕方の無い事なのですが、OHIO製は10年前のトランプであろうと、保存状態が良ければ非常に綺麗に滑ってくれます。また、多少使い込んで滑りの鈍くなったデックでも、ケースにしまっておけば翌日に元通り、なんて当然の事でした。
しかし、KY製となって以降、最初は滑るものの、少し時間が経つと急にガサガサになり、まったく滑らなくなってしまうカードが出てきたのです。
テーブルにリボンスプレッドしてもボソボソと他のカードを引きずるような広がり方になります。
これはマジックにおいてかなり致命的な欠陥なのです。

その他
品質とは関係ありませんが、BICYCLEや他のカードのケースデザインが変更されました。裏模様の描かれていた面に広告文が入るようになり、これはマジックでの秘密動作に関わってくる点でしたので、マジシャンには不評となっています。

マジシャンの動き
こうした変更に対して、著名なマジシャンにより「BICYCLEに変わるマジシャン向けのデックを作ろう」、「昔の質を再現してカードを作ろう」といった動きがあります。例えばBICYCLE MANDOLINやリチャード・ターナーによる高級BICYCLEがその成果ですね。これらのデックは勿論良い質なのですが、まだまだマジシャンのスタンダードとは成り得ていないのが現状と言えるでしょう。

 

3 comments

  1. buzz より:

    2010年より前のやつはohio製と考えてよろしいでしょうか?

  2. k_motonari より:

    ケース表記は2010年以降にKY製となってきているので、2010年より前のものがOHIO製と考えて良いと思います。
    ただ、品質的には2009年から2010年にかけて変わってきているので、確実にOHIO製の品質といえるのは2008年よりも前のものになるのではないでしょうか。U.S.P.C社の社歴にはケンタッキー州に移った年が書いていないので2009年から2010年の間は厳密に何とも言えないですね。

  3. buzz より:

    ありがとうございます。

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